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金沢駅から東京駅まで歩いた話 8日目 ~あっさり安房、気狂いトンネル、楽園上高地、ぬくもりおばあちゃん~

2015年 8月 8日(土)

 

平湯のバスターミナルにて起床。
周りに人がたくさんいたので驚いた。どうやらドラマの撮影をしているっぽい。
近くにいた人がお弁当を食べていたので、どこに売っていたか訊ねると、支給されたものらしく、この方もドラマの関係者だった。
「おにぎり一つ食べる?」と言って、おにぎりとウインナーを譲ってくれた。優しい朝ご飯をごちそうさまです。
この方は日本語の先生で、ドラマで使われる方言の指導をしていたみたい。
ドラマの主演は谷村美月で、まだ現場には姿がなかった。
先生がスタッフに呼ばれたのでお別れし、僕は安房峠に向かって出発。

バスターミナルから安房峠の入り口はすぐそこ。
峠に入る少し手前で振り返ると、ちょうど谷村美月が到着していた。
画面越しと変わらずかわいかった。この日から旅が終わってしばらくまでファンになってた。単純。

 

おにぎりウインナー谷村美月で元気いっぱいに安房峠イン。
木が生い茂り影が多くてとても涼しい。
が半面、薄暗くて少し怖い。
熊が怖いので鈴を鳴らしながらビクビク歩く。と、後ろから音が聞こえたのでびっくりして振り向く。自転車の人たちだった。
夏休みということもあってか、自転車や車が普通に通って行く。
ホッと安心し、景色など楽しみながら足を進める。

下りになってからしばらくすると、少し先に獣の集団を発見…
よーく見るとだ。
家族なのか、親子合わせて10匹ほどの集団。
近づくと危険かもと思い、しばらく後ろから様子をうかがう。
どうやら人に慣れているようで、バイクの人たちが近づいて行き見ていても大人しかった。
僕も安心して猿の横を通り過ぎる。
子供の猿なんて特にかわいくて癒された。

熊なんて出る気配もなく、あっさりと安房峠を抜けた。
めっちゃビビッていた分、余計にあっさりに感じた。何もなく無事にクリアできてよかった。

 

ここから一度、上高地を目指す。
旅の猛者 Yさん曰く、楽園。
とても楽しみ。

上高地の手前には釜トンネルというトンネルがある。
マイカー規制がかけられていて、シャトルバスなどを使わないと上高地までたどり着けない。
徒歩は規制にかからないので、釜トンネルの歩道を登っていく。
標識書かれていた傾斜は、なんと

 

12%

 

聞いたことない…
おそらくもっと急な坂なんて全国にはたくさんあるんだろうけど、僕が経験した中では一番キツイはず…体感的にもかなり急に感じる。
実際には10.9%の勾配らしい。およそ6度くらいに相当する坂。
数字だけ見るとなんてことないけど、かなり急。
これが1kmちょい続く。

朝から安房峠を越えてきたこともあり、かなり序盤にへばりだす。
坂が急なため、バスなんかもかなりのエンジン音で登っていく。そしてトンネル。
轟音が響くので、いくら大きい声を出しても恥ずかしさのかけらも生まれない。
なので、気持ち悪いくらいに自分を鼓舞して歩く。

行ける!
俺なら登れるぞ!

シュ~、シュ~
頑張れ!よし!

よし!
よし!!
よし!!!

 

キモい。

めっちゃキモいけど、こうでもしないとガツガツ登って行けなかった。おかげで無事トンネルを抜けた。

 

トンネルを抜けて少し進むと遊歩道に出た。
この時点でかなりの絶景。
トンネルが辛かったこともあり、湖から山脈までの開けた景色がとても気持ちいい。

 

 

 

遊歩道中の景色は常に美しく、影も多いのでとても涼しい。
すでに楽園。
疲れなど感じることもなくあっという間にカッパ橋に到着。

 

 

夏休み中なので人は多いが、この空気感はまさに楽園。
橋の奥に見える穂高の山脈が、なんとも偉大で見惚れてしまう。
天気に恵まれたこともよかった。
というか元々あまり雨は降らないのだろうか…
僕は北陸出身のため、曇りや雨が基本。晴れているだけでラッキーに感じる。
そしてこの絶景。
似たようなことを何度もいうけど、本当に心地よい。この旅一番の癒しだったかもしれない。

 

 

 

そしてカッパ橋より少し奥にある小梨平キャンプ場へ。
今日の寝床になる場所。だと思いながら少し散策。
カラフルなテントが立ち並ぶ。

 

 

自分もこのテントレンタルできるかなぁ
なんて思いながら受付にいくと
持ち込みのテントがなければ泊まれませんと…
まじかよ…
せっかくの上高地を堪能できない…
しかも今日中にあのトンネルを下らなければいけない…

こっそり野宿しようかとも思ったけど、さすがにまずそうなのでしぶしぶ上高地での泊りは諦めた。
少しテンションが下がりながらキャンプ場をうろうろ。
食堂か何かの建物の裏に河原が見えたので、そこで少しのんびりすることに。

すると、そこに開けていたのは、さっきカッパ橋の奥に見えていた穂高の山脈。
格段に近くにそれを拝むことができた。
少し分厚い雲がスピード早く山脈の上を通過していくので、影ったり日が差したりを繰り返す。
その演出がより一層穂高を幻想的に見せてくれた。
吸い込まれそうになるほどの偉大な山脈
30分は見惚れていたと思う。
なのに写真を撮り忘れたので、画像で伝えることができないのが残念。
頭では今でも鮮明に思い出せるほど感動的だった。

 

 

 

再び鬼のようなトンネルを下り(下りもなかなかにキツイ)、明るいうちに上高地を後に。
泊まれなかったのは残念だったけど、素晴らしい景色を見られて大満足。
日が落ち出した頃に小さな温泉を発見。
釣り人や登山をしに来た人、地元の年配の人たち、いろんな人で溢れかえった小さな温泉。
僕もその中に混ぜてもらい、安房峠越えや上高地への往復の疲れを洗い流す。
しばらくのんびりしてから温泉の従業員の人に野宿できそうな所を聞いてみる。

「この辺寒すぎるし無理だよ、寝袋だけじゃ」

またしてもテントを持ってないことによる不都合!

さすがに山をなめすぎか…
どうしようか考えていると、近くにライダーハウスがあるという情報が。
もうそこへ行くしかない。
時間も少し遅いので、急いでライダーハウスへ向かう。

ライダーハウスは、自転車やバイク、徒歩での旅行者向けの格安素泊まり宿。

僕が泊まった所は、相部屋で素泊まり1,000円。

旅人の多い北海道などにはたくさんライダーハウスがあるそう。

受付の時間に間に合い、ライダーハウスのおばちゃんが気さくに迎え入れてくれた。
旅の経緯を話していると、僕のことを心配してくれて、晩御飯の余りをご馳走してくれた!(涙)
酢の物、カボチャ、ポトフ、自家栽培の山芋によるとろろ、それでご飯を2杯かきこむ。
とてつもなくおいしい!お腹いっぱい!
こんなに温かく優しいご飯を食べれて感謝しかありません。おばちゃんありがとう!
どうやらお孫さんと僕が同い年らしく、どうしても放っておけなかったみたい。

 

同じく優しいおじいちゃんも一緒にご飯を食べた。
夫婦ではないらしい

 

おばちゃんの笑顔はとても優しくて素敵。
公開したいけど自重しておきます。

自分の孫のように温かく接してくれて、僕も自分のおばあちゃんのような安心感を感じた。
ご飯ホントにおいしかった

 

 

 

しばらく自宅の居間でゆっくりさせてもらい、寝床になる部屋へ移る。
神戸からきた自転車のお兄さん(29)との相部屋。
お互いの旅の話をしながらウトウトと就寝。
部屋へ移る前も、バイクで旅をしている二人組や登山のお兄さんたちと仲良くなり、塩タブレットを交換したりした(笑)
いい意味で距離感の近い、気軽なコミュニケーションがとれて楽しかった。
ライダーハウス巡りをするのも楽しそうだなと思った。

この日も予定には裏切られ一瞬困りはしたものの、寝床を確保できたし、絶景も見られて、何といってもおばちゃんの温かすぎる優しさに助けられた。
今日も感謝の貯金がたまった。

 

つづく

 

この記事のルート

 

ここまで約192km

上高地に寄り道したため、この日は40kmも歩いていた…

 

Kimmy